住まいの解剖図鑑

 

住まいの解剖図鑑

住まいの解剖図鑑

 

 住宅設計は簡単そうで、施主の思いが重く反映されるのでなかなか難しいジャンルだと思います。学生の時に設計の課題でまず出されるのがこの住宅なのですが、意外と苦労します。自分が生活している基盤なので、よく知ってると思いきや、実は設計してみると何も知らないことに気付きます。寸法や配置、設計してみるといろんな間違いを犯すのです。先生に指摘されて初めて気付く、しかしよく考えてみると、はぁそうだなと。

本書はそんな指摘を予め網羅した一冊ですね。学生の時に読んでおきたかった。っというか、そういう授業を受けてから設計の課題に取り組むべきですね。

ホントに大事なお金の話

 

知っておきたい ホントに大事なお金の話

知っておきたい ホントに大事なお金の話

 

 ホントに知っておきたいと厳選されている訳ではなく、網羅的に知っておいた方が良いと思われることが書いてあります。なんか教科書的なノリですが、必要最低限これだけは知っておいた方が良いという内容ですね。ある程度知識がある人だと物足りない感じです。かつ基本なので、目から鱗的な内容もありませんでした。

 

ただ、人生を始める新社会人などが知っておくには大事な内容ばかりです。やはり学校でこういうことを学ぶ訳ではないのでどこかで自学する必要があるのですね。自分はゴミ投資家シリーズでそれを学びました。人生の酸いも甘いも踏まえたような内容が自分には合ってました。本書はちょっと真面目過ぎるかなぁと。でも大事なことばかりです。

転職の思考法

 

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

 

 仕事選びというのは、結局人生をどのように生きるかということに帰結するんだよなぁと本書を読んで感じました。タイトルにもある「今の会社にいていいのか?」というのはつまり「今の自分でいいのか?」という疑問と同義だと思うのです。やはり常に自分を見つめながら、本当に成りたい自分というのは何かと常に問いかけながら人生を歩んで行く必要があるのです。

 

新卒で必ずしも自分がやりたいことがわかるわけでもないし、必ずしも自分がやりたい仕事にフィット出来るわけでもありません。しかし、転職を通じて成りたい自分に近ずけるということは出来ると思うのです。自分が出来ることを棚卸しし、必要なスキルを得られる仕事を探し、一つ一つ積み重ねていけば、自分が望む自分を自分で構築出来るのです。

しかしそのためにはまず自分の能力や価値を知ること。市場の動向を把握しておくこと。転職に適した時期を外さないこと。結局人と人との繋がりに依るものなので、縁のあるなしを感じながら、波を繋いで大きな波に乗っていけるように生きていけると楽しいと思います。

 

本書はストーリー仕立てで面白く読めて、何を考えなきゃいけないかを提示してくれます。特に伸びてる市場に身を晒すというのは大事ですね。消耗戦に身を置いたら破滅が待ち受けているだけです。

忘却の河

 

忘却の河 (新潮文庫)

忘却の河 (新潮文庫)

 

どこかでこの本の書評を見て、何と無く興味持ったので読んでみました。書かれたのが昭和30年代、もう50年以上も前なのですね。とても興味深い本ではありましたが、今後読まれるということがどんどん少なくなり、歴史に埋没していくような気がしてなりません。きっとそんな本が世の中たくさんあるのでしょう。著作権など言ってないで、そのような本がもっと広く読まれるようになれば良いのにと思います。電子書籍である青空文庫がその役割を果たしてくれると思うのですが。

 

物語はある一家の個々の独白が章として成っており、それらがまとまって一つの物語を紡ぎ出しています。この独白形式が、初めは取っつきにくかったのですが、慣れてしまうとスイスイと読めてしまいます。そしてその世界観に従って自分の思考も流れて行くのです。この50代になった男の淡々とした心境が、やがて来るであろう自分の身につまされるのです。そして、過去の思い出に浸されるのです。

 

終戦後、死は今よりももっと身近だったのですね。特に幼な子の死は。死と、それに対比する生と。そして愛が本書のテーマです。しかし本書で書かれている悩みはどれも純粋で、今の時代からすると、そんなことで、と思う事もしばしあります。倫理観の問題でもあるのですけどね。 この内容がまた、昔読んだ本に似ていて、またそれを思い出させるのです。そして、自分にとって、愛とはなんであったのかを。

不死身の特攻兵

 

 何回も特攻を命じられながら、生きて帰ってきた方の物語です。あの時代にそのような方がいたのですね、そんなことも知りませんでした。本書を読んで改めて知ったのですが、特攻自体に命中精度を高める意味合いというのはほとんどないということ。逆に優秀な搭乗員をムザムザと死なせ、飛行機も失うための損失の方が大きいということです。撃沈に至ったのは驚くほど少なく、かつ米軍の対策もあっという間に施されて、初期以降の特攻はほぼ無駄死にであったと。

 

それにしても、特攻を命じた軍の上層部の卑劣極まりなさは半端じゃないですね。何がなんでも自分が命じたことはやらせるという、人の命すらなんとも思わない、かつ上にしか目が向いていないという、部下には特攻を命じていながら逃げまくる司令官も描かれています。なんともありふれた話のようですが実在なのですよ、これが。しかし、まぁ読んでいて思い出されるのは、私の上司です。全くそのものです。確かに優秀で、上の人には絶対服従なので、覚えもそれなりに目出度いのでしょうが、部下の前では絶対自分が正しいというスタンスであり、命令したことは絶対に行えという正に軍隊スタイルそのままです。

 

そんな中で、ノラリクラリと自分スタイルを通せた主人公は偉いです。そんな人もいたんだなと。本当に昔も今も変わらないんだなと思います。日本人の人間性も。月並みだけれども、サラリーマンであったって、上司の命令が絶対とはしてはいけないんだなと思うのですよ。

新日本の階級社会

日本でだんだん格差が広がってきて固定化し、格差社会から、更に階級社会に移りつつあるというのが本書の趣旨です。確かに貧困が広がって、格差が生じているのは確かなのでしょうが、大凡この手の貧困ビジネス本は眉唾付けて読む必要がありますね。

まずいろいろ数値例を挙げている貧困が広がっているという主張をされているのですが、本当にその数値で広がっている証拠となりうるのか怪しいところが散見されます。俄かには信じがたい。80年代ぐらいまでの総中流意識があったのは確かなのですが、それがたまたまであって、歴史を通じても、世界的にも格差が大きくなるというのは、まぁ常なのかなと。但し国が強くあるためにはしっかりした中流階級の存在が必要なことは確かなので、それを保つ政策というのは必要だとは思います。でもそれでも貧困層は出来てしまいますよね。

本書の内容が信じられないのは、階級と支持政党、特に自民党と紐付けたり、ネトウヨと結びつけたり、あげく防衛費は無駄だから貧困対策に回せ的な記載があったりと、まぁそっち系の人なんですかと読む気を無くさせてしまう点にあります。自民党は金持ちの味方的な記載ですが、むしろ民主党やリベラルと自称されている方々の方が、自民党を上回るようなリベラル法案を推進出来ないことの方が問題ではないでしょうか。

格差固定化が問題だとすれば教育格差をもっと論じる必要があると思います。究極的には固定化の原因は教育にあるのは間違いないのです。ただ本書に書いてあるように教育機会に問題があるのではないと思うのです。高度な教育を受けるために必要な様々な情報を受け取れるか否か、そこにかかってるのです。単に高校や大学を無償化したり奨学金増やせばよいというのは短絡過ぎます。

そしてもっと大事なことは世代間格差であります。若年層を安い給料で使ってしのいでいたうちはよいのですが、労働力不足でそうも言ってられなくなりました。それを誤魔化すために移民をなし崩し的に認めつつある点になんにも考慮していません。これはあらたな貧困と差別を生み出し、将来的に民族問題ともなっていく可能性を秘めています。

本書を読んで思うことは日本で格差社会が問題となるのは、リベラルと自称する人達の想像力の欠如と思い込みによる自己満足的な解決策しか出来ないレベルの低さに依るものなのだなと感じてしまいます。

プライベートバンカー 驚異の資産運用砲

プライベートバンカーとして活躍されている方の著書です。清武氏の著書に出ていた方なので、読んでいれば半分くらいは内容被ってしまってますね。

ちょっとサブタイトルがイマイチでした。あんまり驚異でもなかったし、最後の”砲”ってなんでしょうか。もしかしたら文中に記載されているスペシャル運用方法のことかなと思いますが、リバレッジかけて、かつジャンク担保債より大幅に融資が入るなんってスキーム危なっかしいような気がするのは自分だけなのでしょうか。普通ヘアカット掛かるような気がしますけどね。一方私みたいなゴミ投資家レベルへのアドバイスは至って普通で、あまり参考になりません。

結局どんな知識があって、様々運用方法を知っていようが、顧客を満足させるにはちゃんと儲けさせてあげるしかないんだろうなと思うわけです。筆者のように転職する度に預け先をあれこれ変えさせられては客もたまったもんではないですからね。しかも外資などは本社の方針でコロッと外国支店撤退などありますから、困ったものです。かといって、国内金融機関が宛になるわけではないのは確かなのですが。