グレート・ギャツビー

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

随分昔に読んだことのある本です。確か「ノルウェイの森」と「ライ麦畑でつかまえて」に影響されて読んだと思うので、高校の時以来でしょうか。主人公ギャツビー氏の孤独と憂愁感、狂騒の影に潜んでいる寂しさが記憶に残っていたのですが読み直してみるとそれらがとても鮮やかに蘇ってきました。

この本を読んだせいではないでしょうが、どんなに面白おかしいことをして、おいしいものを食べて、浴びるように酒を飲んだとしても、常にこの伝え手であるニックのような冷静な視線が自分のどこかにありました。更に最近、自分の中のこのニック的存在が大きくなっているような気がしてならず、この本を手に取ったわけです。

それで、読んでみるとニックは30歳って設定なんです。う〜ん、同い年じゃねぇかよ。
「自分に嘘をついて、それを名誉と称するには5つほど歳をとりすぎました」
いやぁ、すごく同感です。それにしても思うんです。小説だからなのでしょうか、登場人物たちの”生”に対する意識がとても鮮やかなんです。”生きる”ことに対する実感と言い換えてもいいかもしれません。毎日、”生きる”ことに対して何も感じないことが多くなって来過ぎている気がするんです。感受性が疎外されすぎているのでしょうか?