ローマ人の物語〈15〉ローマ世界の終焉

ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉

ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉

最終巻です。もうかれこれ10年近く、年末の楽しみになっていたこの物語も終わりになってしまいました。この巻では如何にローマ帝国が滅亡していったかという点に焦点が置かれています。その消滅の過程は本書に譲るとして、その原因はいろいろ辿れるのでしょうが、思うに次の2点ではないかと思います。

  • カラカラ帝による全市民へのローマ市民権の付与当たり前になった権利のために、市民の義務であった軍務という概念が崩壊してしまった。
  • コンスタンティヌス1世によるキリスト教公認第一線で帝国を守れる力量を持った者がなるべき皇帝という地位を神権による世襲制にしてしまった。

これによって手足も頭脳も共に朽ち果ててしまったと共に、ローマがローマであった「スタイル」も滅んでいったということなのでしょう。確かにたった 5,60年前の日本と今とを比べても全く異なった民族みたいに精神性も思考回路も変わってしまっている中で、1300年も続いた国家のスタイルを保ち続けるのは生半可なことではないとは思いますが。

しかし、歴史とは勝者必衰であり諸行無常である訳で、ハッピーエンドで終わることは有り得ないのですが、やはり物語を読み終えると一抹の寂しさを感じますね。