陰翳礼讃

陰翳礼讃 (中公文庫)

陰翳礼讃 (中公文庫)

「陰翳礼賛」ずっと小説か何かだと勘違いしてましたが、エッセイでした。

日本の建築物や、能や歌舞伎などの芸能がそもそもは「陰翳」を基調として構成されているんだということを始めて知りました。ただ、この本は70年も前に書かれていてその時代ですら既に「陰翳」が失われ過ぎていると嘆かれているので、現在ではその味わいなど味わうべくもありませんね。それにしてもこのような文章を読んでいると、日本人であることにとても安らぎを憶えます。綴られている一つ一つの言葉が、大いなる広がりを持って全身に満ちていくようです。とても奥深くて味わい深い。

この本を読んで、この本が表現している意味合いを心のどこかに携えていられるのであれば、感性が深化するようになるのではないかと感じさせてくれる一冊です。