現代の二都物語

現代の二都物語

現代の二都物語

シリコンバレーとボストン郊外のルート128(128!)を比較して、コンピューター産業の盛衰と、特になぜシリコンバレーが飛躍を果たしたかということを学術的に述べています。

そもそも、ルート128って今まで知らなかったのですが、そこそこ昔にはそれなりに繁栄してコンピュータ産業の集積地であったようです。具体的な例で言えDEC。そして、DECと言えば繁栄と衰退を一瞬で極めた企業として有名かと思います。

93年頃の話なので、日本がまだまだ元気がよい頃の話です。その後の日本もルート128と同様な凋落を遂げるのですが、この様な本がありながら全くそれを防げなかったのは残念に思いますね。何せ、本書に語られているルート128企業というのは、正に日本企業に当てはまる特徴を持っていたわけなのですから。

同様に2000年以降よく聞く、「アメリカ式」な企業のあり方、ベンチャーキャピタルインキュベータージョブホッパーストックオプション・・・などなどが実は単にシリコンバレー式でしかなかったという点は明確にしておいた方がよいと思います。

問題はルート128式のみでシリコンバレー式を持てなかった日本が今後どのように新しい産業を創出していくか、緩やかな連携関係からなる企業群というものが、今後の知的産業の育成に影響をもたらすものと考えます。