アルファを求める男たち

アルファ、つまりマーケットリスクであるベータに対して、個々の証券に固有のリスクであるアルファをどのように上手く取れるか。あるいは上手く回避するか。CAPMが描く、これらについての物語が本書です。

そこに辿り着くアプローチは様々で、ボラティリティに注目したり、アセットアロケーションで転換したり、ポータブルアルファとして別のものに移転したりするわけです。

ここに出てくるような高度にテクニカルな話を読んでいると、個人投資家が行っていることなんって本当に低次元のお遊びに過ぎないんだなって思えてきます。ここまでの時間と頭脳と資本を駆使しても、ほんの数ポイントのベーシスを取ることを目指しているわけです。逆に言えばそれだけのギリギリの世界で戦っているわけです。それに対して、なんの考えもなく丁半バクチに過ぎない個人投資家が勝てるチャンスは本当に運以外のなにものでもないのでしょう。

冒頭では最近流行の行動ファイナンスについての記述もあります。行動ファイナンスの動きは、より市場の歪みを産み出し、アルファの動きを強くする。つまり非効率性を高めるのでそれ自体が効率性市場主義者の反証となるわけです。なかなか面白い議論ですね。