- 作者: 渋沢栄一,守屋淳
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 新書
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題名は「論語と算盤」と並列のような書き方ですが、意味合い的には論語の考え方を算盤に適用して、経済行為に道徳をもたらそうというものです。
日本経済の父とも言われる渋沢栄一がなぜ論語を愛して、算盤というものへつなげようとしたのか、ここが本書のポイントだと思います。彼は資本主義の本質的な姿、つまりアニマルスピリッツというものをよく理解していたのだと思います。これは現代にいたるまでもまさしくその通りですね。道徳がなければ、人間はその本能に従って経済的利潤を追い求めてしまう。彼は明治期の商業界がそのような姿であることを嘆いていますが、これは古今東西どこでも変わらない姿なんですね。
内容は理解しやすく、特段の違和感もなくすっと読めてしまいますが、裏を返せばそれだけ論語が我々の思考に刷り込まれていると言うことに他ならないような気がします。とはいえ、やはり論語、いつかはゆっくりじっくり学んでみたいと思います。