コラプティオ

コラプティオ

コラプティオ

とても面白く、読み始めたらとまらないぐらい引き込まれました。ただ終わり方が今ひとつ、こういう終わり方しかなかったのかなぁという感じでした。

震災後の日本に突如として現れたカリスマを備えたリーダーが首相に就きます。それを支える秘書官と、それを引きづり落とそうとするマスコミ。この両者を軸に物語は展開していきます。物語のベースは東日本大震災をベースとしているので、震災後よくこんなに早く1つの物語を書き終えることが出来たなと感心してたら、もともとの連載で書いていたものを書き直ししたのですね。納得。でもお陰でより深く真実味が増した一冊に仕上がったと感じますね。

この本の内容は言ってしまえば、マキャベリ君主論で論じていることと同様で、政治において許容される必要悪というのはどれくらいかということに尽きるのだと思います。しかし、それにしてはちょっとナイーブでこの程度でスキャンダルになってしまうのであれば、日本では政治的な動きというのはほとんど取れないんじゃないかなと感じてしまいます。特に世界的な外交政策も踏まえて考えれば、序の口ですよね。むしろやり方の稚拙さが気になってしまうくらいです。

しかし、この本で描かれているリーダー首相はとても魅力的です。マスコミなんぞ、足を引っ張るだけで、きどって偉そうなことをいうだけで実は単なる嫉妬の塊にしか見えません。戦前だって特にリーダーに引っ張られて戦争を始めた訳でもないのに、未だに残るリーダーへの恐怖と不信感。むしろ今こそ強いリーダーが必要となっている時代はないはずなのですが。