選択の科学

選択の科学

選択の科学

人生というのは、選択の連続であるわけで、言い換えてみれば我々は選択の結果により成り立っていると言っても過言ではないのでしょう。よく、この選択が正しいかどうかを問われることはあるのですが、そもそも、その選択以外の人生は送れることはないので、結果がどうあろうともそのことで思い悩むことはナンセンスだと思うのです。

で、本書はその選択というものについて科学的に(主には心理学)いろんな角度から研究した結果を章ごとに提示したものです。そもそも自発的に選択を行えるか否か、選択に対して外部から意識的に/無意識的に影響を受けているか、選択を行い、その結果に満足するかそれとも不満に思うか、そのようなことに対して解き明かしてくれます。

とても興味深く、人間の選択という行為に対して、楽しみながら読めます。ただだからと言って、本書を読んだからと言って自分の日々の選択行為に影響を及ぼすということはないでしょう。本書の最後のところでも、カミュのシジフォスの神話を引き合いに出してこう結んでいます。「科学の力を借りて巧みに選択を行うこともできるが、それでも選択が本質的に芸術であることに変わりはない。選択の力を最大限に活用するには、その不確実性と矛盾を受け入れなくてはならないのだ。」そしてそれこそが、我々が人生を愛せる根本的理由だと考えるのです。