- 作者: 佐野眞一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/01/10
- メディア: 単行本
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とはいえ、本書が描くところは孫さん自身ではありません。正に「あんぽん」孫さんを産み、育てた父親母親の家系をつぶさに調べて、言葉悪く言えば「暴き」出しています。そのように孫さんが育った環境から、どのようにして孫正義が誕生したかを明らかにしようというのが本書の目的です。それはもうここまで書くかというくらいエグい気もします。
なので、今までの業績をもとにした孫正義礼賛本ではありません。むしろ在日韓国人として生きてきた一族の苦悩と、そこから這い上がってきた孫正義の生き様を描いた形です。著者も言う通り、在日の人々が日本に与える影響、多様性の必要さについては僕も肯定的に捉えています。アメリカではないですが、社会の活力というのは、そのようなところから出てくるのでしょう。
著者の孫さんに対する、好きだけど嫌いみたいな感情がところどころ見え隠れしているところも面白いです。改革者として、認めているんだけど、自分の既得権益に関することとなるとやっぱり許せないのでしょうか。左側の臭いがするので、なおさらそうなのかもしれません。
そんな訳で、本書はなんだか親戚間の愛憎と葛藤にまみれたぐちゃぐちゃな歴史を覗けて、週刊誌ネタ的に面白い一冊であると感じました。