茶道の歴史

茶道の歴史 (講談社学術文庫)

茶道の歴史 (講談社学術文庫)

筆者は戦前から東大の史料編纂官として、奉職されていた方です。戦前からずっと長いこと、その職にあったということはそれだけ様々な資料を眺め、研究に打ち込んでこれたということなのでしょう。本書はその長い経験と知識をもとに記されていてとても深みがあって面白いです。

茶道の歴史ということで、初期の室町時代台子でお茶をしていた点茶から、茶道と呼ばれる日本独自の道を歩みだし、それが成立するまでを時系列で説明してくれます。元は講演で話した内容を本にまとめたものなので、口語調で読み易いです。内容も全くの初心者でも理解出来るようなとても初歩的なところから説明してくれているのでとっつきやすいですね。

昭和の前半から見た時代風景というのは、やはり今現在のものとは違っていますね。現在の歴史研究がどれくらい進んでいるかはわかりませんが、この時代の深い研究に基づいた本が、実は今では多々埋もれていると思うと、それらを発掘しながらいろいろ読み進めるもの本道楽としては面白いのではと感じました。