経営戦略全史

経営戦略について、俯瞰してその流れを描いた一冊です。部分部分では考え方について学ぶ機会はあったのですが、ここまでその流れを踏まえて全体感を捉えた事はなかったです。全体感を捉えた事によって逆にその考え方のポジショニングとか、有利性などが明らかになった面白かったです。

経営戦略のアイディアを育むにあたって、日本企業が大きく影響を与えて来たというのも興味深い事実ですね。70年、80年代の快進撃を続けて来た日本企業がなぜそのような力を持つに至ったのかという研究が、企業戦略を考慮する上で重要な研究課題となったということなのでしょう。

昨今は経営戦略で多く用いられていた”フレームワーク”もだいぶその力を落として来たように感じます。そんなフレームワークで単純に語られる訳でもないほど、取り巻く環境が複雑なのでしょう。最新の経営戦略が”アダプティブ戦略”というところに落ち着いている辺りにも、経営戦略家の苦悩が伺えます。たまに日本企業が衰退した原因や、韓国企業が伸びた原因などの記事を読んだりしますが、”経営戦略”としてなにかしらまとまった形で現れていないように思えるのでその辺りを期待しているのですが。

一人一人の考え方もコンパクトにまとまっていて、ストーリー仕立てもわかりやすく、コラムも導入として面白くってなかなか良い一冊でした。