ウォール街のアルゴリズム戦争

ウォール街のアルゴリズム戦争

ウォール街のアルゴリズム戦争

HFTをお題にした本です。「フラッシュボーイズ」で既に読んでいるジャンルなので、二番煎じ感があったのですが、こちらの原題は「Dark Pools」つまりHFTを可能にした取引所が中心となるわけです。昔ながらの証券取引所のイメージがいつの間にか、システムの中での出来事になり、配管工と呼ばれる取引所のシステムルールを知り尽くした人々が暗躍するようになった一番始めの原点から描いています。そういう意味で原題の方がわかりやすかったような。。。売るために題名変えたのでしょうが。

ストーリーでいうと、証券取引所にはびこるスペシャリスト/マーケットメイカーといった既得権を持った旧来の巨人達を、システム上でのマッチングを構想した一人の青年が変えてくというものですが、結局
イカー、テイカー制度によって、流動性を提供する役割がシステムに移行しただけであって、そのシステムを運用する機関に既得権が移っただけのように感じました。

しかし驚愕すべきなのは、このクオリティを持ったシステムを一人の人物が造り出したということです。しかもシステムアーキテクチャー的にも非常に安定して、高速度で動作するという。正に天才ですね。しかもサーバーは普通のDellを積み重ねただけという。日本にだってアローヘッドというものがありますが、富士通が物凄い工数とハイスペックサーバをかけてなんとか構築したものなんですね。しかも10年は遅れての登場ですから。

しかしアメリカの金融業界というものは次々と新しいメシの種を想像していきますね。この前はリーマンショック時のモーゲージであったりCDSでした。こちらはクラッシュによりあえなく崩壊してしまいましたが、HFTの方は前回のフラッシュクラッシュをなんとか乗り越えています。ただ原因不明のまま乗り越えただけで、その火種は残っている可能性は否定出来ませんね。そして、次のメシの種もきっと育ちつつあるのでしょう。それはBitcoinかBlockChainか。わかる日もそう遠くないでしょう。