「読まなくていい本」の読書案内

「ゴミ投資家」シリーズで、私は金融関連の知識や根本的な考え方の基礎を築かさせて頂きました。橘氏のその後の著作で、そのアップデートをすることが出来たのですが、遂に文系分野、教養の世界まで同氏が進出するとは。しかも相変わらずの切れ味です。

本書は著者が「最前線」と考える5つの分野「複雑系」「進化論」「ゲーム理論」「脳科学」「功利主義」について、現在の研究の流れとその重要性について語ってくれます。「読まなくていい本」というのは逆説的にそれ以外の本ということなんですね。もはや古典は研究者用としか価値はないということになります。そしてそれらを読む時間は圧倒的に限られています。例えば冒頭などを読んでみると、哲学などはもはや先鋭化の行き着く果てに死んだも同然だと思えてしまいます。

実際文系の全ての分野においてパラダイムは大きく変化しています。文系大学でどのような内容を教えられているかは知りませんが、例えば経済学において、今大学で教えられているものの多くは現実に沿ってないと思っていました。特にリーマンショック以降においては。そんな漠然とした思いを本書で、明快な言葉で明らかにしてくれました。さすがですね、橘氏