シベリア出兵

シベリア出兵といえば、歴史の教科書にちょろっと書いてあった程度で、歴史の片隅に忘れられがちです。日清日露や第二次大戦と比べても目立った戦績もなく、なんのために行ったのかもイマイチ不明です。しかし詳細に見てみればシベリアの遥か先、バイカル湖畔まで進出しており、尼港事件や極東共和国など話題にも尽きません。石光正清が諜報機関として活躍したのもこの頃にあたりますね。ロシアと日本に蜜月期間があったとすれば、この頃くらいかもしれません。

本書はその7年に及ぶその派兵期間を、年代ごとに詳細解説してくれます。何があったか、特に政治との絡みで記載されているのはわかりやすいですね。一方シベリア出兵がその後に与えた影響などの記載は弱いです。この15年後には泥沼の日中戦争に突入していくわけで、歴史の結果を見るにつけ、このシベリア出兵の教訓がきちんと生かされていればと思わずにはいられません。思えば、この頃サハリンの石油をきちんと押さえていればもう少しその後の日本の行く末も違ってきたように思えます。このタイミングで北サハリンくらいちゃんと交渉して取れなかったのは日本の外交力の不味さ以外になかったと思えるのです。