10年後、君に仕事はあるのか?

今は奈良の高校の校長をされている著者が、いつも高校生に向けている言葉を本にした感じです。リクルートから転身して教育界で活躍されてるのは凄いなと毎度思うのですが、今回はその流れで「雇われる力」をどのように培うのかという話ということで興味を持ちました。

が、今回はちょっとイマイチですね。基本路線は「Life Shift」です。これにAIの影響を絡め、じゃぁどうすれば良いかという話になるのですが、やっぱり話がリクルートの経験主体なんですよね。「編集力」というか、うまく世の中の流れを繋ぎ合せて物事を見せるのは上手なのかもしれませんが、それで通用するのは一部の業界だけなんだと思います。今回は特にその上辺だけ掬った感がして、とても薄っぺらく感じました。本書のタイトルにあるような「10年後」となれば、AIもきっと過去のものか、普遍的で当たり前のものとなり、意識されてないでしょう。そういえば20年くらい(?)前にもAI理論って流行りましたよね。なのでAIがどうこうとは関係なく、生き抜く力を養うための能力を培わなければならないはずなのです。

そこはやはり筆者も認識されているように、通常の教科の勉強だけでは足りなくて、社会と紐付いた学びの場が必要なんだと思います。しかし、それを現実の学校の場に求めるのも実は酷な気もします。保護者や地域の知見も合せて推進出来るのが理想ですが、それをやるとどうしても地域差が出てしまうでしょう。こういった教育や能力開発については、保護者の意識の違いによる育て方への対応へとつながり、今後は如実に差として出てくると思われ、それが子供の将来に大きな影響を与えると感じています。