かくて行動経済学は生まれり

かくて行動経済学は生まれり

かくて行動経済学は生まれり

書名よりも筆者の名前が大きく表示されている本は初めてかもしれません。初めは何の本かと思いましたが、やはりマイケル ルイスの新作だと思って手に取ってしまいました。中身はタイトルの通り、行動経済学がどのように生まれたかです。ちょうど今年のノーベル経済学賞も本書にも登場するリチャード セイラーが受賞しましたが、行動経済学も今後更なる盛り上がりが予想されるところです。

本書は行動経済学がどのように生まれたかという話なのですが、本書を読み進めていけば、それはダニエル カーネマンとエイモス トヴェルスキーという二人のイスラエル人の物語であることに気付くのです。ホロコーストや数回の中東戦争に揉まれて生き抜いてきた二人がなぜ、どのように行動経済学に着想したのか。それはもともと経済学にフォーカスした話ではなく、心理学の応用範囲の中の一つとしての経済学でしたが、それが見事に花開いたということなんですね。

読んでいると、マイケルルイスの著作にしては珍しく中だるみした時もありましたが、後半の追い込みは素晴らしく、最後はあっという間に読み終えてしまいました。この二人がどのような関係を築きながら、研究を進め、終えていくのか、最後のノーベル賞のくだりは、さすが読ませるなぁと思わざるを得ません。