水を石油に変える人

水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬

水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬

戦前、戦時中と水を油に変えるとネタにした詐欺師の話です。副題を見ると、山本五十六がなんかやらかしたようにも思えますが実際そういうことではなくて、単に本書の興味を引くための副題ですね。本書を読んでみると懐が広いというか、なんでもやらしてみようというところだったのでしょう。

それにしても、本書を読むまでこんな詐欺師紛いのことが大手を振って闊歩していたというのが、興味深いところです。人造石油はまだしも科学品を味付け程度に水に加えただけで石油になるなど、化学を少しでも齧ったことがある現代の人間であればあり得ないと考えるでしょう。それが許容されるところが、なんとも時代性というのか、大らかな感じさえ致します。

筆者はこの一事件を元に広範囲な資料収集をして本書を記しているというのが、とてもよくわかりますね。特に光が当たることもないのかもしれませんが、こんな形で本を一冊著すことが出来るというのも素敵なことだなと思えました。