逆襲される文明

文藝春秋の連載の書籍化です。今まで連載されてたことはなんとなく知っていましたが、読んだのは初めてでした。2013年頃からの話題が載ってますが、遠い昔のことのように思い出しながら読んでいました。ヨーロッパではギリシャ問題や移民問題、最近では英国のイグジットなどがありますが、本質的に何も解決しないまま過ぎているのではないかという気がしました。結果何かが変わったわけではないように思えるのです。

それにしても塩野先生はずっとイタリアに住まわれる訳ですが、全く日本人として芯が通って、それが抜けることがなく生きてこられたのですね。本書の写真を拝見しても凛として矍鑠としたお姿ですし、文章を読んでいても、古き良き文壇の香りというか、とても上品で洒脱が効いていて、知性というものはこうやって形作られるのだと感じるのです。私なんぞはいくら本を読もうと、この域に達する気がしないです。

先生ももはや御年80歳になられて、今年年末に出るギリシャ人の物語で歴史物は最後にするとのこと。残念ではあるが、いい節目ですね。あともう少し、楽しみに待っています。