これからの投資の思考法

 

元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法

元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法

 

 AIアドバイザーサービスを起業された方の本です。

 

筆者はアメリカ人義父母の資産運用サービスの結果に大きく影響を受けてこのサービスを開発されたと。非常に美しいストーリーだなと思ってしまいました。起業までの道のりなども読むと、とても応援したくなってしまいます。ただ、むしろそのアドバイザリーサービスをそのまま日本でやれば良いのではと思ってしまいます。ロボットに限らず、そんなサービスがあれば大繁盛間違いなしでしょう。もちろんサービスはパフォーマンス込みの話で、そんなパフォーマンスを達成出来るアドバイザリーは自分が知る限りありません。もちろん富裕層向けに自分の知らないところにはあるのかもしれませんが、一般的な家庭が手に届く範囲では無いのです。

 

よく日本は貯金が主流で投資にお金が回っていかないと苦言を呈する方がいらっしゃいますが、バブル以降株式も投資信託も儲からないから手を出さないのが正しいのだとおもいます。市場が盛り上がらない、余計手を出さないと悪循環が続いているからなのです。そして投資信託のパフォーマンスは自分が知る限り、控えめに言っても醜悪です。401Kでも運用してますが、どれをやってもマイナスにいかなければ御の字で、余計なコスト払うぐらいなら預金で充分だと思ってしまうレベルです。このアベノミクスと言われた、マーケットが比較的良好な時期でそのレベルです。きっとなんらかの危機が勃発した際は半値辺りに落ち込むのは目に見えているのです。これは国内市場だけでなく、なぜか海外市場も含めて分散投資していても同じような結果に陥るのです。

 

また筆者は長期投資を主張していますが、結局これも怪しいもので、リーマンショック時に保有していた投資信託を自分は全て解約してしまったのですが、改めて見直して見たところ、10年経っても傷跡癒えず基準価格には回復してません。もちろん私の投資先がイマイチだったのかもしれませんが、あのまま塩漬けにしているよりかは明らかに良かったし、積立など以ての外です。

 

筆者が開発されたロボアドバイザーはこんな私の悲観的な投資感を覆すような素晴らしい投資先を見つけてきてくれるのでしょうか。問題は手法ではないのだと思います。リバランスだって、スイッチングコストがかかるだけでメリットが薄いという研究成果もあったりします。筆者義父母の資産レベル数億円を仮に3億円レベルとすると、毎月10万を40年かけて投資して、8%の利回りで漸く到達します。今時コンスタントに8%稼げる投資先などあるのでしょうか?美しい起業ストーリーの裏側の現実は、なかなか厳しいです。