そのとき、「お金」で歴史が動いた

 

本書の特徴は経済史というものではなく、歴史上の出来事を「お金」という観点から見直しているという点になります。そういう意味でなかなか面白い一冊でして、一章ごとにテーマが変わっているので、短く読み切りで読んでしまえるのも読みやすくて良いです。

 

なぜフランスが「永年の2番手」であったのか、なぜアジアではなくヨーロッパで産業革命が起きたのか、「大恐慌」を防ぐには?など各章のテーマも興味深いものばかりです。ちなみに日本で起きたのは産業革命ではなく、「勤勉革命」という主張もなかなか頷けます。美徳とされてますが、それが果たして良かったものなのか悩ましいものです。また、資料やコラムなんかも興味深くて、なかなか楽しめます。

 

ただ経済事象というのは後からは色々説明出来るのですが、経済政策なんかを別のやり方でやったら本当にうまくいくのかどうなのか、その法則性というのは100%完全ではないところがイマイチ信じきれないところもあるのも事実です。ちょっと前のリフレ派とか全く不発でしたし、トリクルダウンとか少しも効き目ありませんでした。今の流行りはなんですかね、日本経済が30年間有効な手立てを打てないまま来ているのは金融政策の前になんらか根本的に間違っているからなのかもしれません。

 

それは労働政策なのか、子育て環境が悪いせいなのか、格差社会が広がっているせいなのか。100年後には結論が出ていることでしょう