もはや説明はいらないと思いますが、有名な小説ですね。でも私未だ読んだことがなく、いつか読もうリストの一冊だったのですが、なぜか手に取るハードル高く今まで未読でした。日本製鐵が中国の宝山鋼鉄株式を売却したニュースが先日流れましたが、それをモデルとして描いたのが本書だったことを知り、ようやく読んでみた次第です。
全4冊ではありますが、そんなボリュームは気にならないぐらいあっという間に読めてしまいます。久しぶりに先が知りたくてドンドン読んでしまいました。それくらい面白いし、著者の本領とも言える圧倒的な調査取材によって、リアル感が満ち溢れていて物語の世界に引き込まれていきました。
本書を読んでいると、日本が戦争で中国にしたことが如何に恨まれているか改めて感じますね。まぁ仕方のないことではありますが、日本がアジア開放のために役立ったとかそういう右翼的なコメントが引っ込んでしまうくらい彼の地での行状は目に余るということでしょう。少なくても民衆レベルでは害悪しかなかったわけですから。ただそうは言ってもあの地では日本軍の行いなど霞むくらい他の為政者の行いも酷く、終戦後から文化大革命までの激動の中国の内幕も凄まじいものがありますね。思うのですが、あの国は何事もやり過ぎて振れ幅が激し過ぎます。現在も経済成長でガンガンやっていたかと思えば、不況にまっしぐらで、この先どこまで行くかといったところ。個人的には人口が逆回転に寄与してもっと落ち込むのではと想定しています。更に人の生き死にや扱いがとても軽いので、優秀な人材だって掃いて捨てられていくのも苛烈ですね。過去の行状すらほじくり返され反省させられるので、死ぬまで安心出来ないです。
それは置いておいて、久しぶりに物語の世界にどっぷりはまりました。実話に近くて本当のモデルの実在するという話も聞きましたが、主人公は今どうしているのでしょうね、最後の言葉がタイトルにつながっているとは素晴らしいオチだと感じました。