弱い円の正体

 

 

最近の為替の動向についてその分析を知りたい場合、とても参考になるのが筆者のコラムです。様々なネットメディアで発信していますが、不勉強ながら著者のことを知ったのはここ半年くらいでした。普段は記事の著者はそれほど気にせず読んでいたりするのですが、よくまとまっていて、しっかり分析されているなぁときになり始めてよく見たら結構いろんなところでお見かけする名前でした。分析の内容も、説明する言葉もとても適していて素晴らしい解説だなといつも思います。

 

弱い円とは詰まるところここ2、3年の円安を示すわけですが、これが常態化しており、それが一過性のものではないということを、貿易統計などを用いて解説してくれるわけです。私なんかは円安に振れても円高に振れても大わらわなこの国の経済動向こそなんとかならないかなぁと思ったりもするのですが、現在の円安水準も、日本という国自体の価値が安くなっているわけであり、なかなか看過出来るものではありません。元々はドル円金利差から説明されていたこの円安ですが、しかし筆者はさらにその裏にある実際のキャッシュフローの流れを分析されて、これが一過性のものではないと論じています。しかも円安だからと言って、日本企業の輸出がもはや増えないということも。海外に工場を作って、そこから製品を出荷する体制に変わってきているのですよ。そして海外での収益は円転されることはなく、現地で再投資に回されるわけです。これは円安メリットもないまま円買いの需要が細るわけです。

 

などなど、納得感満載の分析とそれに対応する処方箋も提示してくれるわけで、為替の動向とその裏にある日本経済の現在について知るにはうってつけの一冊です。