忘れられた日本人

忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

日本の風土というものを理解するのにうってつけの一冊。民俗学というのはフィールドワークの賜物ですね。戦後すぐまでの日本ではこういった世界が存在したということに驚きと一種畏敬の念を感じます。

戦前の村々というのは、村社会という言葉があるように固定的で閉鎖的で旧習で押し固められた様なイメージがあるのですが、この本からはそんな感じは全くしないです。そこには開放的で大らかで逞しい人々の姿が描き出されているのですから。たまに山歩きをしてたりすると、この本の情景がどのようなものであったかということがうっすらと感じられます。やっぱり車社会ではわからないですよね。

最近派遣切りとかなんとか話題になってますが、そんな人は農家になればいいんじゃないかと思いますよ。過疎化した農村なんかで地道に暮らしていく手段はまだまだあると感じています。あの頃に比べたら極めて豊かになった現代で職を失ったくらいで希望を失う理由なんかないんじゃないかと思えてくるのです。