メンタル脳

 

主に中高生向きの本ですね。自分も高校の倫理の授業でまず脳の動きについての本を読まされたのを思い出しましたが、同じような意図で書かれたものだと思います。つまり揺れる心の正体がどのような身体の動きによってなされるものなのかをわかりやすく解説し、その真っ只中で感情の動きに適応するのにアップアップな中高生に、その理由と対処方法などを教えてくれるものです。

 

不安や孤独、鬱々とした感情は実際には脳の神経の働きによるものなのですが、それらがなぜそのような動きをするようになったのか脳内の神経物質の動きが原因ということ、更に言えばそういう動きをする大元は原始時代からの人類の生存のための必要性に迫られて体が進化した影響によるものだということがわかります。人類が猿から原始人になるまでに何万年という過程を経ていることを考えると現代社会の生活などせいぜい数百年なわけで、まだまだ体の変化が追いついていないのは当然なのです。人間の体が現在の生活に本当に適用するようになったらどのような形態になるのか興味が深いところですが、まだそれでも何千年という時間が必要になるでしょうし、その頃に人類や地球がどのようになってるかも不明なので、まぁ当分の間はこのメンタル不調とうまくやっていきながら生きていく他ありません。

 

 

やってはいけない不動産投資

 

本書は主に2018年頃のスルガ銀行やカボチャの馬車等で噴出した不動産投資の闇を描いた本なので、ちょっと今から読むには内容は古い気がします。直接当事者からの取材した内容をもとに書籍化されているので、直近の状況でアップデートがあればぜひ読んでみたいです。なので最新の業界動向知りたい場合は「正直不動産」及びその副読本などを読んだ方が参考になります。

グレートリセット後の世界をどう生きるか

 

これからバブル発生も含めた金融経済の刷新が発生して、世の中一変しますよというなかなかぶっ飛んだ一冊です。しかも著者が不動産専門の方なので、これまたオモロ説に値します。

 

まぁ何か根拠があるのかと言われたら、それほど確定的なものがあるわけではなさそうですが、30年周期で日本の陰と陽が逆転するというのは面白い説です。バブル崩壊以降失われた30年が陰の時代に相当し、その前の戦後からバブルまでが陽の時代でその前の戦争期が陰。これはこれで言ってることはあながち間違っているとは言えないのです。そうするとこれからが陽の時代になるということで楽しみですね。まぁ結論は資産高騰に依る不動産保有は吉という、不動産専門の方には都合の良い我田引水なのでした。まぁでもやっぱり世の中資産を持っているに越したことはないですね。特に不動産。場所さえ間違えなければ損はないです。

弱い円の正体

 

 

最近の為替の動向についてその分析を知りたい場合、とても参考になるのが筆者のコラムです。様々なネットメディアで発信していますが、不勉強ながら著者のことを知ったのはここ半年くらいでした。普段は記事の著者はそれほど気にせず読んでいたりするのですが、よくまとまっていて、しっかり分析されているなぁときになり始めてよく見たら結構いろんなところでお見かけする名前でした。分析の内容も、説明する言葉もとても適していて素晴らしい解説だなといつも思います。

 

弱い円とは詰まるところここ2、3年の円安を示すわけですが、これが常態化しており、それが一過性のものではないということを、貿易統計などを用いて解説してくれるわけです。私なんかは円安に振れても円高に振れても大わらわなこの国の経済動向こそなんとかならないかなぁと思ったりもするのですが、現在の円安水準も、日本という国自体の価値が安くなっているわけであり、なかなか看過出来るものではありません。元々はドル円金利差から説明されていたこの円安ですが、しかし筆者はさらにその裏にある実際のキャッシュフローの流れを分析されて、これが一過性のものではないと論じています。しかも円安だからと言って、日本企業の輸出がもはや増えないということも。海外に工場を作って、そこから製品を出荷する体制に変わってきているのですよ。そして海外での収益は円転されることはなく、現地で再投資に回されるわけです。これは円安メリットもないまま円買いの需要が細るわけです。

 

などなど、納得感満載の分析とそれに対応する処方箋も提示してくれるわけで、為替の動向とその裏にある日本経済の現在について知るにはうってつけの一冊です。

1兆円を盗んだ男

 

仮想通貨取引所で一時期名を馳せたFTXの創業者サム・バンクマン・フリード氏を中心にあの会社がどのように生まれ、崩壊したのかを明らかにした一冊です。この会社が急に有名になり出して、イケイケの状態から突然倒産した過程についてはハタから見ていても不思議だったので、それを理解することが出来て、かつ世の中にはこんな人もいるんだなぁということも知れて驚きでした。さすがマイケル・ルイス氏ですね。

 

まず一点目が創業者フリード氏。変人かつ天才。効率的利他主義という言葉を初めて目にしました。世の中を良くするために、ボランティアなどに精を出すのではなく、大金を稼げるならヘドを吐くような仕事であっても出来るだけ稼いで、それを寄付するのが一番効率的であると。そして本人の生活は質素。必要なこと以外は全く、何も気にしない。究極のお金ばら撒きおじさんである。現代のピューリタン思想みたいなモノでしょうか。

二点目がフリード氏が新卒で働き出したファンド会社ジェーン・ストリート。全てがゲームのように、期待値のみで構成される会社。世の中の出来事を全て即座に期待値換算してトレーディングに用いて莫大な収益を上げる。ここまで徹底した会社日本人にはまず作れないでしょうね。っというかこんな変人レベルを掻き集められるのもアメリカだけな気がします。

三点目がFTX。組織図もまともな会計報告も出せないような会社が存在したということだけでも驚きです。そしてその莫大な収益は単なる暗号通貨による幻影。この会社もブロックチェーンの暴落の煽りを受けて倒産したのだと思いますが、それさえなかったら未だに収益ガンガン上げていたのではと思われます。逆にきちんとしたガバナンス体制が築かれていなかったからあれほどアッサリと倒産してしまったのでしょうか。

 

しかしビットコインもまた最高値更新していますが、暗号通貨業界は闇が深いですね。。。自分には理解出来ないと思いつつも、買っておけばよかったな。

マンションバブル41の落とし穴

 

マンションの購入及びその後の維持管理までを見据えて、こうしたらいいんじゃない?といった内容をまとめた一冊です。ただタワマンとか大手デベが開発したような豪華マンションを想定した理想論的な話も盛り込まれているので、弱小規模マンション住まいのワタクシにとってはそこまでは出来ないよなぁ、とか関係ないなぁといった内容も多かったです。資産価値の維持という考え方は眩し過ぎました。

すばらしい医学

 

なんともすばらしい一冊です。著者の医学への愛に溢れています。しかも人間性の高さまで感じられて、眩しいばかりです。

 

内容はといえば医学に関するマメ知識というか、諸々エッセーをまとめた感じでしょうか。ふむふむなるほどといった感じで医学に関する知見が深まります。いや、本当に人間というか生物ってよく出来ているんだなぁと著者の思いを通じて改めて感服する次第です。改めて考えてみれば人間も自然の摂理に従って動いているわけで、モノを食べて咀嚼してエネルギーを得るところから、空気を吸って酸素を得たり、外敵である様々なウィルスや細菌と戦うことも全て化学反応をもとに組み立てられているわけです。それらがうまく協調して人間の営みが行えるわけなんですね。そして医学の歴史というのはそのような人間を仕組みを知るところからはじまるわけです。本書はそんな過去の様々な偉人たちによる医学への貢献の歴史とも言えるでしょう。