男の民俗学大全

 

まずは本書を手に取るとそのページ数に圧倒されます。なんと1冊で1000ページ。普通の文庫だと上中下ぐらいで分割しそうな厚さです。そして文中に出てくる挿絵の存在感。なんかこう訴えかけてくるようなパワフルさです。

 

民俗学というものの守備範囲までは詳しくは知りませんが、本書で紹介されているのは日本各地で生活と共に育まれた様々な職種についてです。初出はだいぶ1980年代と書かれているので、きっと昭和の終わり頃まではこのような方々がまだ現役で頑張ってらしたのでしょう。令和の今となっては書物でしか知ることの出来ない途絶えた職種がほとんどなのだと思います。しかしそれも仕方がないのかもしれません。読んでて思うのは、確かに今なくても問題はないのだろうなと思ってしまう職種ばかりなのでした。しっかりした技術を積み上げ、芸術品ともいうべきレベルに達していたとしても需要がなければ悲しいかな致し方なしかもしれません。

 

特に漁業などは各地で様々な漁の仕方を工夫されてきたようですが、もはや継ぐ人もいない状態なのでしょう。でもそれも致し方ないかもしれないですね。どの漁師さんも「昔はもっと獲れた」という言葉を残してますが、その原因が自分達が獲り過ぎたからだと思ってる人は一人もいないようでした。

 

しかし、このような本に収録され、その存在を残すことが出来たというのは良かったのだと思います。個人的には日本各地でこのように息づいて生活出来ていたという存在を知れることが出来てとても興味深かったです。

アフターデジタル2

 

前回のアフターデジタルの反響を踏まえ、再修正を試みています。前作はDXを踏まえて将来ってこうなるよっていう若干煽りを含みながらもある程度夢を見せてくれた一冊でしたが、本作はその煽った点について、ちょっと言い過ぎたので訂正します、本来はこういうことなんですって内容に感じて、なんかそうじゃないんだよ的なテイストが強くて。イマイチ面白みには欠けました。

 

で、言っている点はデータは必要だけど、それをもとにUIを洗練させていく事の方が大事ですよという事でした。顧客のエクスペリエンスジャーニーとかなんか随分前にも聞いたことありますね。そもそも著者はWindowsXPのXPが何を意味していたのか知ってるんでしょうか。あぁ、前もそんな議論あったなぁとおじさんは思ってしまうのですが、以前のジャーニーの結末がは一体どうなったんでしょうね。何か結実したものはあるのでしょうか。結局データはいっぱいあるけど、それを用いて何に活用出来るかといえば、ここに辿り着いてしまったわけですね。中国凄いと煽ってたわりには何も得るものなさそうな印象です。結局不動産と同様バブルの徒花だったんですかね。

お金の教科書

 

アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書という触れ込みです。でも株とか投資とかそんなことじゃなくって、書いてあるのはキャリアについてだったり、就職や起業についてだったり、予算と支出、借金と破産等々、そもそも人生で生きていくために知っておくべきことだらけじゃないですか。なんだかとっても真っ当なことばかりです。教科書だから当たり前か。そしてこういうことこそがフィナンシャルリテラシーというべきことなんだと思います。社会人になって知っておくべき知識はこういうことなのです。収支を健全に保ち、何割かは貯蓄に回す。不要な消費は控える。ある程度収支と貯蓄が安定してくれば、人生のマネープランを作りながら将来どうしていきたいとか、逆に何かをするにはいくら貯めておく必要があるかなど練っていけば自分が望む人生がどうすれば送れるかわかってくると思います。そうやって人生を生きていけば、結構やりたいことはやれてくるんだなと思うのです。

 

 

そのとき、「お金」で歴史が動いた

 

本書の特徴は経済史というものではなく、歴史上の出来事を「お金」という観点から見直しているという点になります。そういう意味でなかなか面白い一冊でして、一章ごとにテーマが変わっているので、短く読み切りで読んでしまえるのも読みやすくて良いです。

 

なぜフランスが「永年の2番手」であったのか、なぜアジアではなくヨーロッパで産業革命が起きたのか、「大恐慌」を防ぐには?など各章のテーマも興味深いものばかりです。ちなみに日本で起きたのは産業革命ではなく、「勤勉革命」という主張もなかなか頷けます。美徳とされてますが、それが果たして良かったものなのか悩ましいものです。また、資料やコラムなんかも興味深くて、なかなか楽しめます。

 

ただ経済事象というのは後からは色々説明出来るのですが、経済政策なんかを別のやり方でやったら本当にうまくいくのかどうなのか、その法則性というのは100%完全ではないところがイマイチ信じきれないところもあるのも事実です。ちょっと前のリフレ派とか全く不発でしたし、トリクルダウンとか少しも効き目ありませんでした。今の流行りはなんですかね、日本経済が30年間有効な手立てを打てないまま来ているのは金融政策の前になんらか根本的に間違っているからなのかもしれません。

 

それは労働政策なのか、子育て環境が悪いせいなのか、格差社会が広がっているせいなのか。100年後には結論が出ていることでしょう

0メートルの旅

 

旅行記です。コロナで旅に出れずにもやもやした気分で過ごしている方でしたらきっと読むと多少は晴れるかと思います。読むとまた行きたくなるんですけどね。

 

筆者は70カ国以上行かれたということで、自分もそこそこ行ったと思ってましたが、倍くらい行ってるんですね、凄いことです。結構行ったつもりでしたけど、若い頃にもっと行けばよかったかなぁとか思ってしまいます。貧乏旅行なんって若いうちですからね。

 

0メートルの旅というのが、どういう意味なのかは本書を読めばわかるのですが、結局旅というのは非日常なんですかね。自分の日々の活動とは異なった新しい世界に行くことこそが旅だというのもわかる気がします。そういう意味では毎週末でもどこかにドライブするだけでも旅の一つなんだと思えてきます。

おっさんず六法

 

おっさんによるおっさんのための1冊です。雇用、給料問題、パワハラセクハラ、社内の不正と半分以上が会社絡みの内容となっています。これらの問題には縁のなさそうなまともな会社になんとか務めることが出来たので、本書の有用性は半分といったところでした。まぁおっさんの論点は会社なんだなと改めて思い知らされた次第です。

 

なので個人的に興味があったのが生活、家庭のトラブルといった辺りになります。今まで平穏な生活を送れているわけですが、一寸先は闇ということを改めて考え直させられました。特に刑事事件になりそうな案件の場合は、即座に弁護士さんにお頼みした方が良いとのこと。身の潔白を示すためには多少のお金も必要経費と考えなければいけませんね。

Think Smart

 

「幸福となるためには、幸福となる方法を探すのではなく、不幸を避けるのだ」という前提のもと、如何に我々が間違った思い込みというものに影響されているかを教えてくれます。つまりそれらを避けることが逆説的に幸福になる道筋というわけです。

 

本書はその思考法を紹介してくれるエッセーですが、その内容は特別独自なものではなく、どこかで読んだような内容が多かったです。特に「ブラックスワン」のタレブ氏、行動心理学者であるカーネマン氏や行動経済学の本を読んだことがあれば、どこかで聞いたようなネタだなぁと思えるはずです。

 

なので、本書の意図は面白く、エッセーという形で読みやすむしてくれてはいるものの、内容的にはそれほど目新しいものはなかったというのが結論ですね。