「まぐれ」や「グラックスワン」で有名なナシーム・タレブ氏と彼が関与したヘッジファンド創設者であるスピッツナーゲル氏を中心に、ベル分布ではなく、ベキ状分布で発生する大惨事をどう捉え、どのうように振る舞うべきか、を描いています。
金融のマーケットではベル状、つまり正規分布によってリスクの発生を捉え、管理する(いわゆるVaR,バリューアットリスク)のが通常どこでも使われているリスク管理の手法ですが、たまに発生する大暴落は100年に1度とか1000年に1度とか言われる頻度でしか発生しないものです。でも全然そんな頻度ではないですよね?少なくても10年に1度は大惨事が発生しているのです。そして、そんな大惨事はとびきりのダメージを投資家に与えるのです。
その大惨事をプロテクションするサービスを提供しているのがスピッツナーゲル氏のファンドです。武器はファーアウトオブザマネーのプットオプションです。これを保険料よろしくコツコツ買い集める。たいていは何も起きず、オプション料は消えていくのみです。しかし大惨事ともなるとこの価値が暴騰してとてつもない利益となるのです。個人にも同様のものがあると良いんですけどね。
後半はマーケットだけではなく、地球規模で発生するカオス事象、例えば新型コロナ、そして気候変動。これらは今、予防的な行動を起こせばそれだけ後世への影響を軽減出来るとのこと。これがファットテール事象の対応策として描かれてますが、前半の金融の話から唐突感があり、不要でしたね。