ムハマド・ユヌス自伝

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家

2006年のノーベル平和賞受賞された方の自伝です。平和賞であるべきなのか、なぜ経済学賞ではないのかという疑問が消えないのですがそれを置いておいても、氏の業績は素晴らしいものだと感じます。

貧者の銀行というものがなんであるか、それは単に金貸し以上の何者でもありません。しかも日本の消費者金融と同じくらい高利です。でも、そこにあるのは貧者に対して、尊厳というものを分け与えるという行為なのだと感じます。だからこそ、きちんとみんな返済するわけなのです。そして、そのために日本でいう昔の無尽といった相互扶助グループを作り協力しあって行く訳です。消費者金融との分かれ目はそこなんでしょうね。出来るだけ、人目につかないように借りていく。基本的にやましい使い道しかしないからなんでしょう。ユヌス氏のもう1つの素晴らしい点は、現在政府が行うべきとされている社会インフラのほとんどは、民間セクターで行うべきだし、その方が極めて効率的・効果的であると看破している点です。そして、その考えをもとにして次々と行動していっている点です。

なるほど、こういう行為こそが社会の新しいダイナミズムを生んでいくことになるわけです。