ローマ亡き後の地中海世界 上

ローマ亡き後の地中海世界(上)

ローマ亡き後の地中海世界(上)

年初のレビュー1回目はやはり本書です。

・・・っていうか、もう本編は終わったはずなんだけどなぜか継続復活。まぁいいです。上巻ってことは下巻もある訳で、これまた来年初の楽しみが増えるということでいいことです。筆者が書き続けてきたローマ人の物語ですが、つまりは、”パックス・ロマーナ”の物語。言うなればローマによる覇権の物語なわけです。そして、その覇権が消滅した時にローマ帝国という国家は滅亡した訳です。ではその後、ローマの覇権下であった地中海世界はどのように変わったのかというのが本書です。

結論を言えば、サラセン人による海賊が荒らす世界になってしまったのです。サラセン人というよりはイスラム教徒と言った方がわかりやすいですね。彼らは”イスラムの家”の名の下に、キリスト教徒を脅かすことをある種教義といった感じで押し寄せていきます。これは本当に今でも変わらないスタイルですよね。テロも海賊も、どちらも変わらず卑劣なやり方です。それを”神の名の下”に正当化して行っていく。

押し込められるのは、”パックス・ブニタリカ”や(かつての)”パックス・アメリカーナ”などの絶大なるパワーのみなのでしょうか。