- 作者: 服部正也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/11/01
- メディア: 新書
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ルワンダなんて今でさえ辺境の彼方というイメージで、よくこの時代に行く気になったなと思います。しかも極貧国なわけですから、その経済を預かる中央銀行の総裁という役職の大変さは想像するに余りあるわけです。しかし、著者は前向きにこれ以上悪くなることはないだろうという気持ちで状況を打開しようと奮闘いたします。しかもその奮闘っぷりが理路整然と経済学の教科書を読んでいるかのように鮮明に描かれ、かつその理論と実践がしっかりと結びついています。なんだかルワンダ経済版坂の上の雲といった風情です。この経済というものの本質的な動きをきちんと理解して、現地の事情を考慮に入れ、それをもとに運用に移すという根本的だが困難な役割をとても鮮やかにやってのけていくのが凄いです。近年はなんだか小手先の金融論ばかり目がいっていてこういう本質的なところから離れてしまっている気がするのですよ。
やっぱり旧制高校から東大行ったエリートはかくもやはりエリートらしいというべきなのだろうか。ちょっと埋もれがちではあるけれどもかなりの良書。