アニマルスピリット

アニマルスピリット

アニマルスピリット

”合理的”な経済人のみの世界を想定した現在の経済学が、今回の経済危機を鑑みるに、やはりそれだけでは不十分だったでしょってことで持ち出されたのが、アニマルスピリットです。

英語から察するに野生的な精神とでも訳すのかと思えば(つまりエコノミックアニマルってことか!?)、さにあらず、最後の解説読むまで混乱してましたが、要は人間が犯しがちな不合理性というもののことなんですね。で、今まで経済学で全く考慮されてこなかったこの人間の不合理性というものをもっと経済学に考慮しましょうよ!って話です。昨今の流行で言えば、経済心理学というものなんでしょうが、それをマクロ経済学的観点から考慮すべきだというところです。

現在のマクロ経済学でも大抵のことは記述出来ていて、それも相当いい精度で出来ているとのことです。しかし、昨今の経済危機、これはどう考えても合理的人間を想定したマクロ経済学では表現しきれないわけなんです。

で、その合理性が解決しない問題点ってのがこんなにあるんだよってのが本書の第二部に並んでいるんですけど、結局この本はそういった問題点の回答というのは一切用意してません。ここがちょっと残念なところなんですよね。これから考えるところだとかいって、上手くごまかされてます。こんなところも経済心理学と似てるんですよね。新しい視点というものを提供してくれるのはとても面白くてよいんですけどね。答えは自分で考えろってことですか・・・