10万年の世界経済史

10万年の世界経済史 上

10万年の世界経済史 上

とりあえず上巻だけでも。

10万年の世界経済史っていうとなんだか雄大な感じでビビッてしまいますが、基本的にこの本を通じて述べていることは”マルサスの罠”についてだけなんです。しかも、やっぱり経済を語る上で必要なデータが取れるのは中世以降の英国が中心でなので、ほぼ話もその辺りに添って展開されていきます。

しかし”マルサスの罠”って全く知りませんでした。産業革命より以前、文明文化が発達しても生活レベルはほとんど上がらず、人口も微増に留まるっていたというのが、”マルサスの罠”です。文明が多少発達して食料が多少増えたとしても、その分人口が増えるため、それを養うために生活レベルが下がってしまう。そしてまた若干の食料増産。人口増加。そんな均衡状態。これがずっと続いていた訳ですね。なるほど。

この本ではその証明がいくつか出てますが、この考え方はいろんなところに応用可能かなと思いました。例えば中国。漸くこの30年で近代化の果実を得られるところに来ましたが、これってひょっとして”一人っ子政策”の結果でもあるのかなと。つまり、出産制限によって一人当たりに対する投資額が増え、その結果近代化が得られてのではないかと。それからアフリカ。爆発的な人口増加は続くも、生活レベルは一向に上がってませんね。常に食糧危機やエイズ感染などの問題にさらされています。ここもこのマルサスの考えに基づいて人口抑制などの政策などを考えてみる価値があるかもしれません。

過去データとして、日本も出てくるのですが余りに最貧国扱いで涙が出てきますよ。いくらなんでもそんなにひどくはないはず・・・

とりあえず上巻ではそのマルサスの罠とその証明でした。下巻ではなぜそれが産業革命で覆ったのかを解き明かしてくれるのか。もしくは今後、この罠が陥りそうな危険がありうるのか。乞うご期待です。