老朽マンションの奇跡

老朽マンションの奇跡

老朽マンションの奇跡

本書は不動産好きで週末物件巡りをしている筆者が、ビンボー暮らしをする部下を見るに見かねて吉祥寺の超格安・オンボロ物件をリフォームして、素敵な住まいを提供していく奮闘記です。地方出身者にとっては始めから部屋を借りて東京に住まうということは給料のほとんどを家賃にもっていかれてしまうので、それこそが格差の源であるという主張です。それは著者の東京での原風景でもあるわけなんですね。

それにしてもこの本に出てくる部下・ハヤト君は相当おバカですね。付合ってる彼女にいい顔したいがために、借金までこさえて引越したはいいものの、管理さえまともにされていない低級アパートを高値で掴まされるとは。そら彼女にもフラレますよ。実際、不動産ほど高いお金を出して手に入れるものもなかなかないわけですが、そのために必要な努力をしない人が意外と多いものなのです。だからお宝物件が眠っていたりするわけなんですけどね。

リーマンショック後の不景気話を何度も書いていますが、そんな時期だったからこそ尚更お得な物件が見つかったわけです。脚色の仕方が新聞記事そのまま引用した感じで、ちょっと過剰気味でした。時期的に運が良かっただけだと書けばよいのに。

最終的には、筆者がリフォームした物件はなかなか素敵な住まいに変身しています。かなりのこだわり症な上に相当値切られた工務店の人が可哀想ではありましたが。あそこまでやらなくても実際リフォームって面白そうですよね。耐震性だけが気になりますが。余裕があれば自分もこういうことやってみたいですね。