百年の孤独

 

書名に惹かれてずっと気になっていたのですが、ちょっと意を決して読んでみました。と言っても軽く読める分量ではなく、かなりのボリューム。油断してると胃もたれします。

 

南米コロンビアを舞台にした一族と、その一族が建設に携わった町の盛衰の記録となります。不思議なもので、訳書であってもなんだか南米風のねっとりと絡みつくような濃厚な文章にどっぷりと物語の中に引き摺り込まれるようでした。熱帯雨林の中のじめつく昼下がりのような気だるさや、カーニバルの夜のような破天荒かつ破廉恥さが繰り返され、人が産まれては死んでいき、その中で恋愛が燃え広がり、やがて潰えていく。栄枯盛衰とまではいかないまでも、一族の歴史が刻まれた本書はなかなか感慨深いものがあります。

 

とはいえ読んで何かを得られるものではないのですが、南米風の「物語性」にただただ圧倒され続ける一冊でした。