文明崩壊

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

今は失われた古代文明の、ちょっとロマンティックな内容かなと、タイトルとカバーのバビロンの塔の絵から想像しながらワクワクして読み始めました。大間違いでした。他人の振り見て、我が身振り直せです。過去の文明が滅んだ原因が、如何に現代の文明に当てはまりかねないかと恐ろしい検証のお話です。

こうやって過去のデータを綿密に収集した上で、文明が滅んだ原因をいくつかにパターン化して当てはめていくという、まったくもって科学的な方法論にはぐうの音も出ません。常日頃環境問題なんて全く省みない僕でもちょいと考え込んでしまいます。

ロハスなんて言葉が流行って環境問題真面目に考えてますってのがカッコいいんだなんて風潮がとても嫌いでしたが、この本読むと最早真面目に考えざるを得ません。本当にこの"Sustainability"って言葉が重要なんだなって思ってしまいました。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

さて、下巻です。下巻では、上巻で見てきた過去の文明崩壊の現象を基にして現在の世界の検証を行っていきます。アメリカのモンタナ・ルワンダ・中国・オーストラリアを例に取って、今まで当たり前で何の疑問も抱かなかった環境が如何に脆く、崩れやすいものであるかを明快に語っていきます。

基本的に環境問題には興味なかったんですけど、この本読んでからはちょっと考え方が変わったかもです。人類が生きている以上、その存在自体が環境に害悪であるわけですので、環境問題を声高に叫んでいる人は自分の存在自体を考え直した方がいいんじゃないかというのがそもそもの考え方だったわけなんですけど、この本を読んでからはやっぱりそうも言ってられないんだなっと思い直しました。

そして、改めて緑豊かな日本に暮らしていることに感謝すると共に、現在生きていく上ではグローバルなリンクの恩恵を受けている我々は、そちらの方についてもっと積極的な関心を向けていかなければならないんだなと真剣に考えてしまいました。