レパントの海戦

レパントの海戦 (新潮文庫)

レパントの海戦 (新潮文庫)

3部作の3作目。遂に無敵の進撃を誇るトルコに対して、ようやく一矢報いる戦い。

でもトルコが無敵だったわけでなく単にキリスト社会が一致団結出来てなかったというのがそれまで敗退を繰り返していた理由なのでしょう。現に一時的に団結出来たレパントの海戦以降はまた烏合の衆としてぐずぐずの戦いを強いられます。戦いまでの経過に対して、海戦の様子の描写がいまいちだったような感じがしました。けれどもやっぱり人物描写から歴史を描き出す様はやっぱり見事ですね。

この戦い以降、勝利したはずのヴェネツィアも凋落への道を辿ります。そもそも戦に他国の力を必要とした時点で弱体化が進んでいたのか、それともその前からだったのか。地中海世界で覇権を誇ったヴェネツィアの相対的な力関係の流れをもっと明確に描いていたらもっと面白かったかもしれません。