- 作者: 鈴木恒男
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 単行本
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破綻した長銀の最後の頭取の方の証言です。
当事者の記録であるので、当時の事件の流れをざっと振り返るにはなかなか適した一冊ではありますが、客観視したかったのかどうかわかりませんが、書き方がどうも他人事みたいです。頭取にまでなった人の著作であるにも関わらず、破綻したのは自分のせいではないという、全く当事者意識が抜けている点が気になります。なんかそこいらのライターに書かせたような。
たぶん筆者が言いたいことは、長銀というシステムそのものが時代の趨勢に合わなくなってきていて、それにバブル崩壊と金融ビックバンが重なったために、とんだ不遇で破綻せざるを得なかったというところでしょう。
確かにそういう面もあるのかもしれませんが、そもそも自分達に落度はなかったのかということです。馴合いや仲間意思などで重要な方針を決めていなかったのか。本書を読むと、「失敗の本質」にあったような日本軍のダメさが同じように表出しているように思われます。その点にこそ、敗軍の将であったならば、目を向けなくてはならなかったのだと思いました。