ライアーズ・ポーカー

ライアーズ・ポーカー (ウィザードブックシリーズ)

ライアーズ・ポーカー (ウィザードブックシリーズ)

80年代後半、債券市場に沸くアメリカで市場を牛耳っていたソロモンブラザーズに入社した若者が、その光景を描いた一冊です。栄枯盛衰の激しいウォール街で早々に姿を消したソロモンブラザーズですが、その栄光の時代を書き記す貴重な一冊なわけです。

初めから興味を引いたのが、大学院を卒業した若者達が銀行に職を得ようと四苦八苦する姿です。全く日本の就職活動を変わらないではありませんか!しかも、圧迫面接も相当なものです。自己分析と一般常識問題、そして、なんで会社に入りたいかをいかに美しく装って出鱈目に答えるか。読んでてなんだかとても身近に思える瞬間でした。

それから、この時代にもう既にモーゲージ債が売られていたというのにもビックリしました。この市場もソロモンが初めに目を付けていたというのはすごいですね。この頃からもうジニーメイフレディマックが鴨として登場してきますよ。

ただ、こうして築いた市場でのポジションもだんだんと崩壊していきます。それも自壊ですね。稼いだ金を受け取ることが出来ず不満が溜まる中、次々とライバル銀行に引き抜かれていきます。更に社内抗争や、あのブラックマンデーにおけるリストラが追い討ちを掛け、栄光から真っ逆様に落ちていきます。あぁ無常。かくして、あっという間にウォール街の藻屑と消えていくのです。

そんな訳で、本書はそんなウォール街の栄光の時間を面白く読める貴重な一冊ですね。あのマネーボールの作者だっとというのも驚きでした。