- 作者: 塩野七生
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第一巻ではそんなマキアヴェッリが産まれ育った頃の時代背景を都市国家フィレンツェを中心に描いています。第二巻ではマキアヴェッリがフィレンツェの書記官として活躍した時代の業績、第三巻ではマキアヴェッリが後世に残ることとなる作家時代の話。日本ではマキャベリズムだなんって言って、権謀術数に長けた冷酷な人物を想像しがちですが、塩野さんの著作にかかると全く違った人物像が浮かび上がってきます。明るく、陽気で楽天的な現実主義者。塩野さんが人間としてのマキアヴェッリに惚れ込んでるんだなぁって感じますよ。
それにしてもフィレンツェを見ているとなんだか今の日本とかぶってきますね。共和制というくびきの中で、決めなければならない時にきちんと決める決定機関に力がない点、日和見主義で、打出す策が常に後手後手に回るなどなど全く見ていて悲しくなるばかりです。そんな中で、権力はなくとも愛する国家のために走り回るマキアヴェッリの姿には打たれるものがあります。ダメながらにも少しでも可能なことを実現しようと努力する姿には。彼には国家に尽くすことが全てだったのです。
第三巻目はその後の夢破れた後の著作家時代が中心なのですが、見ていてちょっと悲しくなりますね。時代を読める男が、ただ単に権力がないばかりに、自分が愛するフィレンツェという国家が転がり落ちていくのをただ単に見ているしか手が出せないという状況が。そして、マキャヴェッリの死がルネッサンス時代の花の都と名高い都市国家フェレンツェの死と合致してしまうのも、それが時代の流れと言うものなのでしょうか。