通貨経済学入門

通貨経済学入門

通貨経済学入門

通貨という観点から見た経済についての本です。著者はこのジャンルでは第一人者の宿輪氏。

通貨制度というと、なんだか我々には空気みたいなもので当たり前であって、変化しえないという感覚です。ですがそれは当然変化するものであってかならずしも普遍的なものではないのです。この本を読んでいると、変動性から固定、ペッグ制など様々な方式が登場してきます。そして、それはその時の国家の状態に応じて適用されるもので、どの方式にも優劣があり、それは個々の経済状態に応じて適用変更されるものだということです。

更に普段気にしないことですが、経済の大きな変化の多くには通貨問題が関わってくるという点です。為替レートが不均衡のままでいると、溜まったマグマがいつしか噴火するように急激な変化を強いるパワーとなって襲ってくるわけです。通貨制度の適切な選択が我々の生活に大きな影響を与えているのですね。そんな訳で現在の為替制度やレートは唯一無二であるわけではなく、例えば日本は昔、円の国際化などと言っていましたが、それがもしある程度まででも上手くいっていたのなら、今とは違う世界が存在していたのでしょう。

ユーロ問題や中国元の話など、最新の情報も出てきているので、正に読むなら今、旬の一冊といえますね。(金本位制の復活なんって話題もさらっと出てきているのが凄いです)通貨の重要性を理解するにはうってつけです。