世紀の空売り

世紀の空売り

世紀の空売り

「ライアーズポーカー」のマイケルルイスがリーマンショックに触発されて書いた一冊です。序章にありますが、「ライアーズポーカー」は、ウォール街ってこんなに酷い所なんだぜってことを一般に伝えるために書いたということです。詐欺的な世界ですからね。それがどうしたことでしょう!今じゃあの頃のウォール街なんってかわいいものですよ。人間の欲望の肥大化具合をまじまじと見せ付けてくれます。そういえば「ライアーズポーカー」には黎明期のモーゲージの話も出てきてましたね。あれがこんなバケモノに成長するとは。

そう言えば、最近久しぶりにこれ見ました。相変わらずゲッコーさんのセリフには痺れるものがありました。描かれている時期は「ライアーズポーカー」と同じ時期ですね。

マイケルルイスもオリバーストーンも、今この時期に再びウォール街をテーマにした作品を描こうとした点で共通するものがあります。このウォール街の続編もそろそろ公開だったと思うので楽しみです。

で、本書なのですがあのサブプライムが華やかだった頃からその本質を見抜いてサブプライム債を空売りしていた人達のお話です。やっぱりいるんですね、そういう人達が。でもウォール街投資銀行で働いていた人達ではなく、ほとんど個人的な感覚で動いていた人ばかりなんですね。アウトサイダーともいうべきか、饗宴の外では冷静に見詰める人達がいるのです。

それと最後に残念だったのが、サブプライムがヤバイ!っと知れ渡った頃にその最後のババを引いたのが日本の金融機関だったということでしょうか。危なそうだから手を出していなかったんじゃなくって、単にそれまで手を出せてなかっただけなんですね。やっとおこぼれもらったと思ったらとんだババ引いてました。ちゃんと名前も晒されてます。みずほ信託銀行。はぁ〜がっかり。