南方録(覚書、滅後)

南方録(覚書・滅後) (現代語でさらりと読む茶の古典)

南方録(覚書・滅後) (現代語でさらりと読む茶の古典)

お茶の世界では与えた影響としてとても大きい一冊という南方録です。近年研究の結果、本書の真偽もいろいろと言われていますが、それでもこれだけの内容のものはそうそうないものと思われます。

本書はその中でも覚書と滅後について記載されています。特に覚書は利休の言葉を正確に残している趣きが強くて、そりゃ皆さんこの本は本物と思ったことでしょう。実際読んでみると、ページ数で50ページくらいなんですよね。多くは「こんな場合はこうするのがよい」という風に書かれていて、お手前というよりも、お茶を点てるということはどういうことか、その考え方を顕すとともに、その根底の思想についてより多くを伝えようとしているのです。結構今のお稽古ではそのような思想にまで踏み込んでくることはないですね。それとも順番があるのでしょうか。基本的なお手前を習得してから、その心を感じるものなのか。。。そして、その思想の根源とは、禅に行き着くのですよ。本書によれば。いやぁ、今のお茶人さんほとんどアウトなんじゃなかろうかと思ってしまうのですが。修行が足りん。っていうかそもそも知りませんからね。その教義に触れていない。「おもてなし」だけで良いんでしょうか。

滅後では、茶室の誂えとか床の間の飾り方とかにも結構具体的に触れています。こちらの方がより詳細に様々なイメージがわいて面白いと思います。ただ、実際にやってみてわかることの方が多いと思うので。自分にはまだ高度な内容でした。

しかしこれらは奥伝として、伝えられたものであってお茶手習いものである私などが読んで良いものなのかと改めて思ってしまう次第であります。昔であれば、秘伝中の秘伝であったものでしょうから。良い時代に生まれました。