茶碗と茶室

茶碗と茶室―茶の湯に未来はあるか (とんぼの本)

茶碗と茶室―茶の湯に未来はあるか (とんぼの本)

  • 作者: 樂吉左衞門,木村宗慎,川瀬敏郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/05/01
  • メディア: 単行本
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楽焼きの当代当主が歴史上の名だたる茶室に茶碗を重ねて、その関係性を思索するという趣きです。元は雑誌の企画のようです。いやぁもう茶碗も茶室もそれはもう国宝級のものばかりで、それを眺め、歴史的、芸術的観点から批評し、随想するなど贅沢の極みです。いやぁ、美術館のケース越しにしか観られないような茶碗を、それが使われたであろう時代の茶室に置いて、眺めるなど羨ましい限りであります。こらは楽氏の力か、出版社の力か。茶碗や茶室をその置かれ方から知りたいという人にとってはとてもよい本かもしれません。

しかし結局このような随想の結果として、何か形になるものと言えば、楽家である筆者にとってそれは茶碗でしかないわけです。現代の茶室とは如何?ということで茶室まで拵えてしまったようですが、それは余儀に過ぎず、せいぜい茶碗の道を探求していって頂きたいと思った次第です。いや贅沢なことですね。