シグナル&ノイズ

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」

筆者は野球や米国での選挙予想で名を馳せた人物です。軽い気持ちで読もうと思いましたが、500ページを超える分厚さにまず圧倒されます。しかし読み始めると軽い読み物のように読めるのでとても読みやすいく面白いです。

話は金融や天気予報など、様々なトピックごとに進んでいき、個々に完結はしてますが、それらが全体を通して最終的なメッセージとして構成されるように出来ています。本書ではベイジアン的な考え方を基本としており、確率的な予測を前提としています。私の浅い知識による理解では、前提があり、それに基づいた確率的予想を行い、新しい事象が発生すればそれに基づいて予測を再度試みて、最終的な未来予測へと繋げていくのがこの方法の良いところのようです。試行を繰り返して検証していくスタイルなのです。なので予想を展開する人の中で検証というプロセスにさらされず、傲慢になりがちな人には批判的です。

予測で大事なことは、予測することではなくその要因を分析して予測自体を変えてしまうプロセスにあるようです。今回のトランプ大統領選挙では筆者は外してしまいましたが、そのトランプを支えたのが別のデータ分析屋だったということです。この点が実に興味深いです。我々は分析によって操られ、世界が大きく変えられてしまう世の中に生きているということなのです。

「シグナル&ノイズ」というタイトルの深い意味までは理解しきれていませんが、その触りとも言えるベイズ統計学についてはもう少し学んでみたいと思いました。