戦艦大和ノ最期

戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫)

戦艦大和ノ最期 (講談社文芸文庫)

角川春樹氏が映画化する原作ということで読んでみました。(後で見たらこの本ではなかったようでしたが・・・)筆者は東大から学徒出陣にて少尉として大和に乗組んでまして、その際に見聞して感じたことを終戦後数日のうちに纏め上げたものだそうです。全体が文語体で書かれているのですが、この簡潔・明朗であるはずの文章がこれほど情感を伴うものだとは思いもしませんでした。

「徳之島ノ北西洋上、『大和』轟沈シテ巨体四裂ス 今ナオ埋没スル三千ノ骸 彼ラ終焉ノ胸中果シテ如何」

最後のテキストです。忘れ去られし日本語の持つパワーをまざまざと感じさせます。言霊宿るとは正にこのことだと感じました