ブラック・スワン[下]

下巻では更に突っ込んでブラックスワンの正体を明かしていきます。

我々が普段生きていると思い込んでいる世界というのはベル型カーブで表されている正規分布の世界なのです。でも、ブラックスワンが生息する世界はフラクタル的ランダム性の世界なのです。

ここを勘違いしてはいけない。そして、確実にブラックスワンはいるのです。ということは我々は常にブラックスワンの存在を認識しておかなければならないのです。その存在がわからなくとも。ベル型カーブの世界からふっと姿を見せるフラクタル世界。でもそれ自体の予測は出来ないのです。

ただ、黒い白鳥を灰色の白鳥にする方法はあります。つまり良い黒い白鳥には積極的にさらされ、悪い黒い白鳥にされされている可能性がある場合は極力保守的になる。

正規分布を元にしたオプションやVaRの評価がいかに使えないものかが、今回の経済危機でもあきらかになったがではそれに変わるものとは何かを模索した場合注目されるのが筆者のスタンスなのです。

ただ、黒い白鳥を正確に捉えることはやはり難しい。リスク管理のような定型的な事務処理にはやはり今までのVaRなどがはまりやすいんでしょうね。