- 作者: 門田隆将
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/04/26
- メディア: 単行本
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まずはこの本の主人公、根本博陸軍中将の功績から。彼は蒙古軍の司令官として終戦後、攻め入るソ連軍を寄せ付けずにその地にいた日本人を無事内地に帰すという軍隊として一番基本的な使命をまっとうしています。隣にあった満州では残留孤児など多くの悲劇を残したことに比べるとこれは素晴らしいことですね。
そして、その時に便宜を図ったくれたのが蒋介石だったのです。”東亜の平和は日本と手を取り合う以外にはない”という考えの下、戦争犯罪についても双方が犯しているものだと考え、司令官である根本の責任を問うことはなかったのです。
その後、蒋介石率いる国民党はボロボロに負け続けます。ソ連に支援された共産党にアメリカからの支援が乏しかった国民党はあっという間に台湾を残すだけまで追い詰められるのです。その最後の戦いが大陸側に1つだけ残された国民党の領土”金門島”を巡る戦いです。
現在の台湾の存在というのは、実は日本のシーレーンにとってもとても有難いものなんですね。きっと当時は誰も気付かなかったでしょう。当時の日本人にとっては50年あまり手塩に掛けて統治してきた思いの方が強かったのかもしれません。それを共産党に獲られることの方がショックだったのでしょう。
実際国民党軍には日本に留学していた人材がかなり多くいます。日本の陸軍士官学校で学んでいた人達もいて、それで敵味方に別れて闘っていたとはなかなか興味深いです。敵味方とは言え、理解し合える仲だったのです。そういう意味では、相容れない敵である共産党が中国本土を握ったというのは日本にとってもとても痛い出来事でしたね。
で、本書に戻るとそんな滅亡寸前の金門島を巡る戦いに根本中将ははせ参じる訳です。当時、台湾へ渡るのは密航となるわけです。その危険を押しての助太刀。結果的には国民党軍はこの金門島を巡る戦いで大勝して、これにて国境線はこう着状態に陥るのです。
ちょうどこの本を読んでいる時にこんな映画を見ました。
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