ザ・クオンツ

ザ・クオンツ  世界経済を破壊した天才たち

ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち

数学的なアルゴリズムによるトレーディングを専門とするクオンツ達を中心としたお話です。特に著名なヘッジファンドを主催している4人を主人公として、その生い立ちからどのようにクオンツの世界になだれ込んだのかを描いています。

このクオンツという考え方の創始者とも言うべき人がエド・ソープという人です。映画「ラスベガスをぶっつぶせ」のモデルにもなっている彼が、ラスベガスのカジノでのカードカウンティングから

世界のカジノとも言うべき市場で、科学的に勝てる手法を研究していきます。その彼が書いたバイブルともいうべき本がクオンツの卵達を魅了して、現在の隆盛へと繋がっていったのですね。

そして、これらクオンツが生まれてくる中で多くの登場人物が出てくるのですが、その中で本を書いている人も多く、あの人がこんな影響を及ぼしていたのかと思うことが多々あって面白かったです。自分もほとんどそれらの本を読んでましたし。

これらのファンドで使われていたモデルは強力なもので、ヘッジファンドに途方もない収益をもたらします。見ていて目も眩むぐらい。でも結局その手法というのは徐々に広まっていくのでだんだんと同じような戦略をどのファンドでも使うようになってきます。それがあのリーマンショックに繋がるマーケットの崩壊となっていくのです。ベクトルが上向いていれば、とても上手く行くのだけれども、一旦崩壊しだすと正に坂道を転がるように転がっていくのです。彼らが使っている相関性というものが逆に仇となった感じですね。

相変わらずというべきか、アメリカ人の著作は取材が詳細で、描き方も緻密に構成されているので、ファンドの世界が実際にどのようであったのかということが物凄く詳しくわかります。アルゴリズムトレーディングってどのようなものなのか、外になかなか洩れてこないだけにとても面白いです。リーマンショックからほぼ2年、最近あの出来事に関する本が何冊か出てきているのでいろいろ読んでみたいと思います。