利休にたずねよ

利休にたずねよ

利休にたずねよ

お茶を習っております。やはりお茶の世界の中では神として崇められている存在ですので、なぜ、利休がそれほどの存在であるかを知りたいとも思い読んでみました。

物語は利休の切腹直前からスタートします。なぜ、利休は切腹せねばならないのか。それを時代を遡って、様々な物語を解きほぐしながら明らかにしていきます。読んでいくと、なんだか逸話のオンパレードですね。お茶を習っている間に聞いた小話が上手く物語に絡ませながら登場していきます。1つの章が様々な人物の視点から語られているので、飽きることなくテンポ良く読むことが出来ます。秀吉が時になかなかのセンスの鋭さを見せる点も見逃せません。

少なくてもお茶をやっている人に対しては、この物語が見せる世界観というものはとても魅力的なのではないでしょうか。とても高度な美意識が存在していて、浮かんでくる場景の所作の隅々まで日頃の自分の手前と比較しながら、その意味合いを再確認出来るのです。読んでみると心構えがまた新しく変わった自分に驚くのです。

日本文化の一つの頂点として、茶の湯が挙げられることは多いのですが、なぜ単なるお茶を喫すということがここまで大事になるのかわからない方も多いでしょう。単にお茶だけに留まらず、人を歓待するための美意識の極致として茶の湯があるということを本書は示してくれている感じがいたします