データ分析の力 因果関係に迫る思考法

 

よくある間違えですが、因果関係と相関関係は異なるのです。相関関係があるからと言って、それが必ずしも因果関係があるとは限らないのです。本書ではまずそのことを明らかにすると共に、ではどのようにして因果関係を解明していくかの手段や気をつけなければいけないことをつらつらと記載しています。

 

とはいえ、一番良いのはやはりA/Bテストなんですね。いや、もうこの時点で答えが出てて終了ですよ。なんかもう簡単な手法なんですけど、これほど強力なツールも無いわけです。そんんわけで思考法というほどのことが書いてあるわけでは無いですが、それぞれのツールで気をつけなければならない点が書いてることがポイントでしょうか。

子育て365日

 

どちらかといえば未就学児を持った親への一冊でしょうか。うちの子たちももう小学校も高学年に入っているので、そういえばそうだったなと思いながら読んでいました。世の中子育てが大変というご家族は多いですが、そうは言っても小学校入れば一段落着いてくるし、そんな時期はあっという間に過ぎ去ってしまうのですよ。そして大変な時期が一番可愛い時期でもあります。大変な時期を大変なりに楽しめれば良いのです。本人達はそんな余裕もないのかもしれないですけどね。過ぎ去ってしまえば寂しい限りなのですから。そして楽しかった。人生で一番有意義で充実した時期だったと過言でも無いと思います。渦中の方々はこの本を読んで、そういう時期だということを改めて感じてもらえたらなと思います。

誰もが嘘をついている

 

ビッグデータ分析がどのように人の本質を洗い出すかについて焦点を当ててます。似たような本は以前にもあったと思いますが、本書の大きな特徴はGoogle検索の検索キーワードからだけでも様々な分析が出来るということ、そしてその分析により、人々が決して言わない本音が覗けるということでしょうか。

 

確かに他の誰かを気にして検索キーワードを入力している人は(今のところ)少ないでしょう。人々は自分の欲求に基づいて本心そのままで検索を掛けているわけです。そしてそれが本当に知りたいこと、興味あることであり、本音ベースのやり取りとなるわけです。そこから導き出される本音ベースの人種差別や性的嗜好などが、一般的に語られる事項とはかけ離れているわけですね。しかもデータは比較的簡単にGoogleからダウンロード出来るようです。これは知らなかった。

 

以前どこかでも書いたかもしれませんが、本書では受験とその合格不合格がその後の人生にどのような影響を与えるかについても記載されています。結論を言えば入った学校はその後の人生にはほぼ影響を与えないということ。「人は経験に順応するし、成功する人はどんな状況にも強みを発見する。成功の要因は才能とやる気だ」これに尽きるでしょう。最後まで読みましたよ。

習近平 政権の権力構造

 

ちょっと読み応えありそうなので、手に取ったは良いものの読もうかどうか迷ってましたが、面白くてあっという間に読み終えてしまいました。新聞記者さんが書かれたのでとても読みやすかったですし、資料やコラムなども適切にまとめられていて程よい。流石です。全体的に習近平がどのように権力を握り、その思想背景はどこから来ているか、そして今後の課題は何かというところまで内容もとても細かいところまで調べられていて、とても興味深かったです。

 

気になったのは習近平毛沢東を信奉していて、それに並び立つ存在になろうとしている割には実績が大してなく、権力闘争のみで今の権力基盤を築いたように思われる点でしょうか。その場合、実績は否応なくこれから作ることに力が注がれるわけで、その最もアピールとなる点は台湾を捩じ伏せ中華を統一するということが一番だとなるということです。しかも昨今の流れから、鎖国かつ国内も完全な監視社会において、共産党を脅かす存在は1ミリたりとも存在を許さないという中世に逆戻りしたかのような環境を目指しているように思えます。果たしてそんな社会が中国国民に今後許容出来るのか?気になるところです。

 

習近平の思想を知るにつけ、誤った考えを確実に遂行しようとしているリーダーほど厄介なものはないと感じました。問題は本人は至って大真面目な点で、かつ強権発動も厭わない。何を言いたいかというと昔いた自分の上司みたいなジャイアニズム満載だと手に負えないようなぁと思う次第です。このままだと数年後には今まで得ていた人口ボーナスが逆回転し出し、経済はボロボロでも必要な対策は取られず、統制が強まるばかりで文化大革命なみの悲劇が繰り返されそうです。

 

80年代以降中国はとても発展しましたが、なんでもやり過ぎな感じが側から見て感じていました。人口が多いせいか競争社会でなんでもわれ先にと争う。なので人民の手綱を握ることは強権以外になく、その振り幅もまた極端に思えます。優秀な人も数多のごとくいるけど、何かあれば虫ケラのごとく潰されてなかなか生きるのに難儀な国に思えます。果たして習近平の行き先と未来での評価はどうなっているでしょうか。

データ視覚化のデザイン

 

最近BIツールを使って、データの視覚化に取り組んでいますが、なかなかこのデザインをどのように組み立てていくのが最善なのか難しいと感じています。今まではいろんなデータがあって、それをただ闇雲に並べているだけのBIが出来上がっていたのですが、それでは見る方は何を見れば良いのかさっぱりわからないのではないかと感じていました。そんな中で何冊か本を読んでみて一番参考になったのが本書です。どんなグラフのパターンがあって、それぞれどのように用いられるのか、そして大事なのがデータの視覚化にあたって、何を気にして、どのように組み立てていけば良いのかのの論点を挙げてくれています。この論点だけでも把握することで、何をベースにBIを組み立てていけば良いのかの基準を描くことが出来ます。

ほんとうの定年後

 

定年した方々のリアルがどのようになっているのかをまとめた一冊です。簡単に言えば多少賃金が低くても社会から必要とされるエッセンシャルワーカーとして働いて生活費を稼ぎつつ、社会との良好な関係を保つというものです。巷で言われていたような年金2000万円問題だって、この働き方であればなんとか出来るでしょう。賃金の高低も、現役時代は重要なファクターでしたが、定年後はそれよりも気ままに社会から必要とされるような仕事をやることのほうが大事になってくるということです。なんとなくわかりますね。その年になれば教育費も終わってる頃で、住宅ローンも完済してるか先が見えているでしょう。そうするとガツガツとプレッシャーに押し潰されそうになってまで収集を確保する必要はないのですから。日本の年金制度について、積立不足が懸念されたりすることはありますが、実際に計算してみればほどほど十分もらえるという事に気付くはずです。むしろマスコミはこのような事実を紹介して、有意義な老後を十分生きられるということをもっと明らかにして欲しいところですね。それほど貯め込まなくて人生なんとかなるんです。

 

大義の末

 

城山三郎氏の自伝的小説とも言われている一冊です。もしかしたら昭和10年代ぐらいの生まれの人はみんなこのような思考を持っているのかもしれないですね。国家や天皇を第一に考えるよう教え込まれ、戦争で死ぬものだと海軍に志願したものの、もはや飛行機や船は海の藻屑と消えており、やることは単なるシゴキとしか言えない教練の毎日。そこで親友を亡くした主人公は、国家や天皇に裏切られたという思いを引きずったまま、それがなんだったのか、ずっと苦悩し続けることになります。世代毎に時代に翻弄される経緯はそれぞれあると思いますが、この世代は特にそれが強かったようで、その後それまでの戦争世代を糾弾し、国家を信用出来ない左翼世代を生み出したのもこのような経緯だったのだと思ってしまいます。我々氷河期世代もなかなかに時代に翻弄された貧乏くじ世代だとは思うのですが、それほど世の中に恨みを抱いていないのは諦めからでしょうか。それとも天皇や軍隊のような明確な攻撃対象がないからでしょうか。しかし、そんな世代の中でも人生は続くわけですし、一回限りの自分の人生を充実させて生き抜いていくことは可能なわけです。主人公にはその視点が欠けていることが残念でした。