ちょっと読み応えありそうなので、手に取ったは良いものの読もうかどうか迷ってましたが、面白くてあっという間に読み終えてしまいました。新聞記者さんが書かれたのでとても読みやすかったですし、資料やコラムなども適切にまとめられていて程よい。流石です。全体的に習近平がどのように権力を握り、その思想背景はどこから来ているか、そして今後の課題は何かというところまで内容もとても細かいところまで調べられていて、とても興味深かったです。
気になったのは習近平が毛沢東を信奉していて、それに並び立つ存在になろうとしている割には実績が大してなく、権力闘争のみで今の権力基盤を築いたように思われる点でしょうか。その場合、実績は否応なくこれから作ることに力が注がれるわけで、その最もアピールとなる点は台湾を捩じ伏せ中華を統一するということが一番だとなるということです。しかも昨今の流れから、鎖国かつ国内も完全な監視社会において、共産党を脅かす存在は1ミリたりとも存在を許さないという中世に逆戻りしたかのような環境を目指しているように思えます。果たしてそんな社会が中国国民に今後許容出来るのか?気になるところです。
習近平の思想を知るにつけ、誤った考えを確実に遂行しようとしているリーダーほど厄介なものはないと感じました。問題は本人は至って大真面目な点で、かつ強権発動も厭わない。何を言いたいかというと昔いた自分の上司みたいなジャイアニズム満載だと手に負えないようなぁと思う次第です。このままだと数年後には今まで得ていた人口ボーナスが逆回転し出し、経済はボロボロでも必要な対策は取られず、統制が強まるばかりで文化大革命なみの悲劇が繰り返されそうです。
80年代以降中国はとても発展しましたが、なんでもやり過ぎな感じが側から見て感じていました。人口が多いせいか競争社会でなんでもわれ先にと争う。なので人民の手綱を握ることは強権以外になく、その振り幅もまた極端に思えます。優秀な人も数多のごとくいるけど、何かあれば虫ケラのごとく潰されてなかなか生きるのに難儀な国に思えます。果たして習近平の行き先と未来での評価はどうなっているでしょうか。